漢文訓読研究会〈 主宰:藤堂光順 〉
漢文訓読研究会〈 主宰:藤堂光順 〉
漢文の訓読法を学ぶのが目的で始まった研究会である。漢字が並んでいるだけの漢文に、返り点や送り仮名をつけるという工夫を施し、日本語として読んだのが漢文訓読で、この先人の知恵には驚嘆すべきものがある。しかし残念なことに、戦後に教育を受けた世代は訓読法を体系的に学んでいない。そこでこれを身につけようと始まったものである。
最初は、江戸期に刊行された数種類の版本を読み比べてそれぞれの訓読の特徴を探った。返り点の付け方や助動詞を付加するか否かなどに、随分と違いがあること、つまり訓読に学者それぞれの個性があることを知った。訓読法が一通り身についたところで、次にこれを応用して漢文を読んでみることにした。
素材にしたのは、中国中世の説話を集大成した『太平広記』である。いにしえの中国を理解するためには、文学・史学・哲学などのアプローチがあるが、それらによっては把握しきれないものを探求するためである。最初は「神」についての説話から読み始め、「鬼」の説話を読み進めている。いったい、人々は何ものを「神」とみなし何を「鬼」とみなしたのか、その存在を信じていたのか、時代や地域の差異はどうであったのか等を考えることによって、中国中世に生きた人々の世界観・自然観に迫りたいと思う。