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河合金曜講座

河合金曜講座
「現代をどう見るか」全8 回

 かつてない豊かさと繁栄と情報の氾濫の中で、現代ほどその実態が見えにくくなっている時代はないと言えます。現代が見えない、ということはそのまま、どこに自分が位置しているか、世界に自分がどうかかわり得るかが確認されないことであり、ひいては自己の同一性が見出せないという諸個人の内面的な危機にまで行きつきます。現代社会が繁栄と引き換えにさまざまな矛盾を生み出している今こそ、“現代” をもう一度根底的かつグローバルに捉え直す営みが必要だといえましょう。
 本講座は、この要請に応えるべく、「現代をどう見るか」のメインテーマの下に、ユニークな講師陣によって、この不可視の“現代” にあらゆる角度から光を当て、その実態及び諸矛盾の構造をトータルに捉え直すことを意図したものです。同時に、本講座が、次世紀に向けてわれわれがどう生きるべきかの道筋をも、いくらかでも明かすものになれば、と願っています。

主催:河合文化教育研究所
後援:京都新聞社
日時:1987 年10 月~ 12 月各金曜日
会場:京都 イタリア会館

第1回( 10月16日)
現代の政治をどう見るか
「憲法・政治・政策」
講師:土井たか子
1928年神戸生まれ。大学の憲法の講師を経て衆議院議員7期当選。「おたかさん」の愛称で親しまれる社会党委員長。

第2回( 10月23日)
現代の人間をどう見るか「 幸福の行方」
講師:瀬戸内寂聴
1922年徳島生まれ。第1回田村俊子賞受賞後『夏のおわり』『かの子撩乱』等で第一線作家に。73年寂聴尼となる。

第3回( 10月30日)
現代の歴史をどう見るか
「ナショナリズムの盛衰」
講師:久野 収
1910年大阪生まれ。日本における反ファシズム運動を創出し、戦後も市民運動の思想的リーダーとして活躍する哲学者。

第4回( 11月6日)
現代の農業をどう見るか
「自民党長期政権の秘密」
講師:飯沼二郎
1918年東京生まれ。京都ベ平連では「セイント飯沼」と呼ばれ粘り強く反戦運動を展開。京大名誉教授、農業経済学者。

第5回( 11月13日)
現代の日本をどう見るか
「第三世界の視座から」
講師:ルーベン・アビト
1947年フィリピン生まれ。70年に来日し、社会正義の促進に積極的な活動を進めるカトリック司祭。上智大学助教授。

第6回( 11月20日)
現代の科学をどう見るか
「科学と民主主義」
講師:柴谷篤弘
1920年大阪生まれ。科学者として科学に批判と警鐘を鳴らし続ける構造主義生物学者。現在、関西医科大学教授。

第7回( 11月27日)
現代の経済をどう見るか
「メリトクラシーと経済」
講師:伊東光晴
1927年東京生まれ。近経・マル経の融合、現実の経済への切り込みにより独自の分析力と明快な解説を加える。京大教授。

第8回( 12月1日)
現代の世界をどう見るか
「日本を見る目・アジアを見る目・世界を見る目」  
講師:小田 実
1932年大阪生まれ。「ベ平連」の組織をはじめ「アジア人会議」の開催等、行動する反戦平和作家、知識人の代表的存在。