倉田令二朗の数学探訪講座
倉田令二朗の数学探訪講座
数学の問題の真偽の決定ではなく真偽の決定不可能証明によって決着をつけるというメタレベルの証明方法が数学基礎論であり、その方法を発展させることによって、コーヘンの連続体仮説問題の決着以来、以下のような多くの問題の独立性(決定不可能性)が明らかとなった。
1、ヒルベルトの第10問題の決着
2、パリス・ハーリントンの応用
3、ノン・スタンダードモデルの応用
4、コンピューター・サイエンス
コンピューター・サイエンスが提起したいくつかの問題(P=NP 問題がその典型)はたちまち数学基礎論の問題となったバウンデッド・アリスメティック(制限算術)内の独立性ないし分離問題であり、その意味からも数学基礎論は、現在におけるもっとも活気ある分野となっている。数学全体を対象化し、そこに貫徹する論理を探求するのが数学基礎論であって、その古典的結果の全体を理解し、その思想的意義を探ることは20世紀から21世紀への移行に当たって、とりわけ重要なことである。本講座は、そのような問題意識を基に、数学に興味のある人間すべてに開かれた講座である。
■これまでの数学探訪講座
1987年 「ガウス2次形式論」(2月・名古屋)
1988年 「ガウス2次形式論」(9月・大阪)「数学基礎論の真髄」(10月・名古屋、12月・京都)
1989年 「集合論の真髄」(6月・東京、12月・京都)
1990年 「リーマン予想と確率論」(6月・東京)「P=NP挑戦する3つの戦略」(11月・東京、12月・京都、12月・名古屋)
1991年 「基礎論と数論・ラズボロフの理論──P=NP問題第2弾」(9月・東京、11月・名古屋、12月・京都)
1992年 「P=NP問題をめぐる2、3の話題」(11月・名古屋、12月・京都、93年1月・東京)
1994年 「解析学・経済学 同時入門」(6月・名古屋、7月・東京、9月・京都)
1995年 「数学基礎論──その21世紀への展望」(6月・名古屋、7月・東京、10月・京都)
1996年 「PとNPの再入門、再定義」(7月・東京、9月・名古屋、10月・京都)