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ドストエフスキイ研究会便り(24)

 

 今回の「研究会便り (24)」の内容は以下の通りです。

 

 






《講演・研究発表の原稿化》

★「ドストエフスキイ研究会便り」では第15回目から、かつての講演や発表を原稿化し,掲載しています。

『罪と罰論』の出版(2007)に先立つ10年ほど、
私はこの作品について様々な試行(思考)錯誤・デッサンを繰り返していました。
本論はその一つで、ロシア文学会の共同研究会(1998)で発表をした後、
なお検討を続け、最終的に文章化(2001)したものです。

『罪と罰』(1866)は、人間と世界とその歴史、更には超越世界についての思索を促す問題性に満ち、
遺作『カラマーゾフの兄弟』(1880)と並んで、正にドストエフスキイの最高傑作と言うべきでしょう。

★この『罪と罰』と取り組んでいる内に、
私はラスコーリニコフがペテルブルクへの上京後、ザルニーツィナ婦人の許に下宿をし、
直ちにその娘ナターリヤと婚約をしたこと、
そして二年後の婚約者の死後、彼が「ナポレオン理論」にのめり込んでいったこと、
これらの事実の背後に作者ドストエフスキイは如何なる意味を込めたのか、非常に気になり始めました。

金貸しの老婆を殺害するに至る前に、またソーニャと出会う前に、
ラスコーリニコフはこの下宿で、婚約者ナターリヤとの間に如何なる「春の夢」を育んでいたのか?
―― テキストの検討を続ける内に、私にはドストエフスキイが、
この下宿生活に深い奥行きと拡がりを与えていることが見えて来るように思われました。

 ★今回と次回は、ラスコーリニコフの下宿空間と、下宿の娘ナターリヤとの婚約の意味について、
以前行った基礎的なデータ収集の作業と、その上に立った考察を取り上げます。

皆さんも楽しみながら、ラスコーリニコフの下宿空間に込められた「謎」の解明に挑み、
改めて『罪と罰』の世界の奥深さを知る契機として頂ければ幸いです。

    
詳しくはこちらをご覧ください。

「研究会」→ドストエフスキイ研究会