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日本とドイツの若者は──いま


日独シンポジウム
日本とドイツの若者は──いま
Jugend in Japan und Deutschland.heute


主催:河合文化教育研究所
京都ドイツ文化センター
日時:1993年10月23日 13:30~
会場:河合塾16号館 サクセスホール(名古屋)


 あらゆる現代的問題は若者の上に集約して出現している。教育の過剰・矛盾の問題も、性差の縮小、あるいは拡大化の問題も、日本のPKO の問題やドイツのネオナチなど新国家主義化の問題も、政治的アパシーも、また、地球環境を含めた未来像をどう作り上げていくか、という問題も──若者の人生を深刻に巻き込み、彼らによって矛盾が現象化されることにおいて──すべてがすぐれて若者問題である。
 河合塾は、日本の教育のひずみをまともにうけてきている若者たちと向き合う現場にあって、彼らとの関わりを通して、日本の教育の矛盾とそのもとで自らの加害性をも視野に入れつつ、若者本来の問う力、考える力を受験勉強と一緒に身につけさせようとしてきた。そういう若者と対話し関わる場から、日本の若者の問題とドイツの若者の課題、問題点を突き合わせていくと、東西文化の違いと同時に、東西を越えて先進国が抱える共通の問題の軸が見えてくるであろう。
 とくに、先進諸国の絶えざる現代化の更新の中で、若者のあり方、若者像そのものがこの10年間に著しく変化してきている。また、情報の洪水に反比例するかのごとく、個人の社会全体での位置、社会との関わりが必然性のない不透明なものになり、管理社会のなかにあって自分の将来をつかみにくくしている。こうした問題を日本とドイツの現状からつきだすことによって、いまなにが一番鋭く問われているかを新たに確認しあい、若者が生きる道を先進国の現実を見据えつつ考える。


■ PROGRAM日独日本とドイツの若者は今
〔 報告 〕( 13:30~15:45)
ユルゲン・ツィネカー
「若者にとっての生活空間としての学校─ドイツの例」
ギゼラ・トロムスドルフ
「現代の若者の将来への期待とそれが
       現在に対する態度に与える影響」  
西尾幹二( 電機通信大学教授・第14期中教審委員)
「なぜ『教育改革』を言わないのか」
松田博公( 共同通信文化部記者)
「若者の中の教育嫌悪感」 
牧野 剛( 河合塾講師)
「若者はどこへ行くのか─日本の若者の決定的な変化の様相」
豊島克己( 河合塾講師)
「学校教育、受験、そして現代の若者気質」

〔 パネル・ディスカッション 〕(16:00~18:00)
「日本とドイツの若者は─いま」
 ○パネリスト:上記報告者
同時通訳:三島憲一( 大阪大学教授)
大貫敦子( 学習院大学助教授)

■ PROFILE
ギゼラ・トロムスドルフ
コンスタンツ大学教授。社会学および社会心理学を専攻。
「将来への決定に対する集団の影響」、「将来への教育」などの著書がある。
集団決定、若者における将来への方向づけ、未成年犯罪者、衝動の抑制、
文化比較による青少年研究、若者における価値観の変遷、社会化などに
関する多くの論文あり。

ユルゲン・ツィネカー
ジーゲン総合大学教授。ハンブルクで小学校の教師をした後、ベルリン
自由大学で教育学、社会学を学ぶ。
フォルクスワーゲン財団、ドイツ・シェル、ドイツ学術振興協会(DFG)
などの委託を受けて多くの研究プロジェクトを行う。幼年期と青年期、
女性解放と学校教育、家庭における学習計画、学校における子どもたち、
若者と成人、1940年から1980年にいたる若者文化、子どもの歴史として
の都市の歴史、などに関する多くの著書論文を発表。