HOME  >  シンポジウム・講演会  >  主任研究員特別講演会

主任研究員特別講演会

主任研究員特別講演会
既存の学問方法と枠組みを越えて

日時:1994 年9 月25 日 14:00 ~ 17:30
会場:河合塾桜山校 講堂(名古屋)

 1994年、新たに主任研究員の方々を文教研に迎えたのを機に、予備校という自由な教育現場での営みとアカデミックな学問との刺激的な出会いの実現をめざして主任研究員特別講演会が開催された。
 それぞれの専門分野で、前人未踏ともいえる独自の研究を打ち出してこられた主任研究員の方々に、自らの研究が、いかに学界に衝撃を与えたか、或いは学界の反発を生じさせたか、また、近代の学問そのものの見直しも含めて既存の学問の何を変え得たか、或いはついに変え得なかったか等、真の学問の有り様とそこに至った苦闘の軌跡を簡潔に語っていただいた。
 講演では、木村敏氏の、音楽の合奏など微妙な経験を通して、かの有名な「あいだ」理論がいかにして出来上がってきたか、という興味深い経緯、倉田令二朗氏の現代数学そのものをメタ・レベルで見直す数学基礎論の重要さと未来性についての話、谷川道雄氏の、中国中世の名望家と自営農民のあいだの共同性に注目した独自の中国中世史論、また、中川久定氏の、埋もれた資料からの文学史、思想史の書き換えに始まり、文学、思想を研究することは生への意味付けをすることであるという学問の根幹に関わる話など、次々と示唆深い話が展開され、主任研究員の方々の学問の位置と学問への信念が印象付けられた講演会であった。
 会場には河合塾の全国の講師と職員有志、また主任研究員にゆかりのある大学の研究者の方々など多数の参加があり、予備校と大学との共同討議の場となった印象深い講演会である。
 当日は、主任研究員になられた直後に、1994年5月他界された廣松渉氏夫人も参加され、挨拶された。

■ PROGRAM主任研究員講演会講演会
〔 講演 〕14:00~16:00
木村 敏( 精神病理学)
倉田令二朗( 数学基礎論)
谷川 道雄( 東洋史学)
中川 久定( フランス文学・思想)

〔 質疑応答 〕16:15 ~ 17:30