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医学における人間


日独シンポジウム
医学における人間

主催:河合文化教育研究所
日時:1995年11月18日 14:00~
会場:河合塾 桜山校講堂(名古屋)


 医学の自然科学化が推し進められ、病気だけが医学の対象となり、病人という全人格的存在が忘却されていった19世紀末の近代科学の全盛期、そうした自然科学主義的な近代医学に対する反省と異議が、ハイデルベルグ大学の内科学の権威フォン・クレールによっていち早く提出された。彼の門下ジーベックからヴァイツゼッカーへと引き継がれのちの医学的人間学に大きく結実していく、このハイデルベルグ大学の医学運動の意味とは何であったか。
 患者と医者の出会いの場面で初めて両者の主体が立ち現れるような関係の主体性を唱え、西欧近代の思想の枠組みを早くも今世紀初頭に越えたヴァイツゼッカーの思想を吟味しながら、ますます科学万能主義一辺倒になった20世紀末医学のなか、本シンポジウムは、このハイデルベルグの運動の現代的意味を、もう一度根底から問い直そうとした意欲的なものである。
 フォン・クレールの反省から100年、病める人間がすっかり視界から消えてしまった現代医学に、生きた生活者としての人間の現実をもう一度回復させ、それを通して生命の根底にまで迫ろうとしたシンポジウム。ヴァイツゼッカーの高弟・シッパーゲス氏、木村敏氏らが熱心な議論を交わした。


■ PROGRAM日独医学における人間
日独シンポジウム
〔 講演 〕( 14:00~17:00)
木村 敏「 医学的人間学から人間学的精神医学へ」 
濱中淑彦「 ハイデルベルグ学派の歴史的背景」 
H.シッパーゲス「 動きの中の医学」(逐次通訳つき)
〔 パネルディスカッション 〕( 17:00~18:00)
「医学における人間」

■ PROFILE

ハインリッヒ・シッパーゲス
元ハイデルベルグ大学教授、
マドリード大学名誉教授
著書・専門論文『中世の医学』、『中世の患者』ほか
学術論文750以上

木村 敏
京都大学名誉教授、
河合文化教育研究所主任研究員
著書・主要訳書『自覚の精神病理学』
ヴァイツゼッカー『生命と主体』ほか多数

濱中淑彦
名古屋市立大学医学部教授
著書・主要訳書『心とからだ』『 臨床精神医学』
ヴァイツゼッカー『医学的人間学』ほか