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主任研究員会議

 

2016年4月20日(水)第25回主任研究員会議京都ガーデンパレスで開催されました。

 

 

 

 

第25回主任研究員会議スケジュール

2016年4月20日(水)13時半より18時まで
                 京都ガーデンパレス  桜の問

* 丈教研からの挨拶(所長)
* 文教研の昨年の活動報告と今年度の予定
* 主任研究員の先生方の発表(五十音順)  ー 昨年度の研究とこれからの予定について
     木村敏先生
     中川久定先生
     長野敬先生
     丹羽健夫先生
     渡辺京二先生(熊本地震のため欠席・代読)
* 全体討論・報告その他

 



木村 敏

1 著書
木村敏「からだ・こころ・生命」講談社学徳文庫2015(文教研版「河合ブックレット」1997の新版。野家啓一氏の解説「生と死のアクチュアリティ」も再録)。

2 論文
木村敏「精神医学と哲学」日独文化研究所年報『文明と哲学』6、こぶし書房014年3月。

3 雑文
木村敏「一精神科医のドイツとの交流」日独文化研究所年報『文明と哲学』7、こぶし書房2015年3月。

4 2016年度の計画
1)年4回1泊2日の文教研「心身論研究会」を続行(名古屋)。
2)月1園の寺子屋セミナー「アポリア」を続行(京都)。
3)月1回ヴァイツゼカーについての学際的研究会「バトソフィア」を続行(京都)。
4)第35回日本医学哲学・倫理学会(兵庫県立大学明石看護キャンパス2016/11/5,6)にて特別講演(仮題は「誕生と死との〈あいだ〉を生きる人間」)。
5)第16回河合臨床哲学シンポジウムを開催(東京2016/12/11,テーマは「人称――その成立と揺らぎ」)。

5 2017年刊行予定のRevue Phllosophique dela France et de leranger,PUFに掲載するフランス語論文Pahologie du soi chez ie schizophrene(統合失調症考における自己の病理)のための日本語草稿を作成中。この草稿をパリ在住の斎藤多香子氏が仏訳し、これをもとにしてFrancoise Dastur氏が最終的な仏訳を完成する予定。
・はじめに――統合失調症状の背後にあるもの、自然な自明性の喪失、「自己」の不成立
・直観診断の可能性――感覚に頼った診断、Rumkeの「プレコックス感」
・Kronfeldの「メタコイノン」――統合失調症の基礎障碍はPersonの消失。Personは生物的な個体が「汝」に出会って「われわれ」という「メタ共同体」を形成することによって可能となる。
・Ricceurのidentiteとipesete――統合失調症では、自己は生物的個体の公的で三人称的なidemとしての「同一性」identiteを失うのでなく、私が自分の人生を生きてきた歴史そのものの「それ自身」ipseとしての、私的で一人称的な「自己性」ipseteを失う。
・主体性の病理(西田とWeizsacker)――西田の「私と汝」:「私は汝を認めることによって私であり、汝は私を認めることによって汝である。私の底に汝があり、汝の底に私がある。私は私の底を通じて汝へ、汝は汝の底を通じて私へ結合する。」――V.von Weilzsackerの主著 Der Gestaltkreis(1940)は若き日のFoucaultによって仏訳されている(1958)。「生それ自身は死なない。死ぬのは個々の生物のみである。死は生を区分し更新する。死は転生を可能にする。生とは出生と死を合わせたものである。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 中川久定

 

 

◆ 中川先生はフランスで出版された『フランスと日本における啓蒙の精神』をご持参され、この本についてのことを中心にお話しされました。

 


私が申し上げることはほとんどないですけれど、ただ私はこれまでにフランス思想史をやっていますが、それはとにかくフランスの思想史を日本語で書いたのでは向こうの人に解ってもらえません。
ですからフランスの思想史をやっている者として、全部自分で考えていることは、フランス人に理解してもらうために、全部フランス語で書いてきました。
今度四冊目のフランス語で書いた本が出ました。
その本というのはこれなんですけれど、この本は、フランスと日本における啓蒙の精神であります。

これはカントが啓蒙とは何かと言うことを書いていますが、その中で、自分が生まれてきているときの自己が自己であるとは何であるか言うことをはっきり自覚しているような状態を、これを「啓蒙の精神」と定義しています。
その啓蒙の精神、カントが『啓蒙の精神』という中で書いていますが、啓蒙の精神というのをみていくと、フランスと日本ではどういうことが見えてくるかということをまとめたのがこの本です。

それで細かいことは中に細かな紹介をするより仕方がないのですけれど、この本の中で啓蒙の精神、カントが書いたような啓蒙というのは自己が自己に対して責任を持つ様な状態、それを啓蒙の精神と言っているのですね。
そういうふうにみていくとそれはフランスだけでなく、日本にも同じような精神が生まれてきている。
そういう点で見るとどういう風景が見えてくるかということをこの本の中で書きました。
あとは細かなことに及ばざるを得ないので、細かな紹介は出来ませんけれど、そういうことを書いた本です。

それから私はこれまで書いてきたものは、4冊フランス語で書きました。その中で2冊目に書いた本で、日本における啓蒙の精神、こんどのこの本はフランスと日本における啓蒙の精神というんですけれども以前にも似たような仕事をしてきて、
今度のは「フランスと日本における啓蒙の精神」という題をつけましたけれどその前に日本だけを中心にして見てくるとどういうものが見えるかということを書きました。
これはそれほど分厚い本ではなかったのですけれど、すぐにイタリア語とスペイン語とポルトガル語に翻訳されましてそれはそれなりにヨーロッパ人の目にも見てもらえたと思います。

それで今度はカントが定義したような啓蒙というようなものを、そういう精神を持った状態がフランスにも日本にも生まれてきたと、それをみるとどういうものが具体的に見えるてくるかということを書いたのがこの本です。
あとは細かなことについてはもう個々に説明せざるを得ないので申し上げることはやめますけれど、啓蒙というのは自分で自分のやる行為について自覚的であるというのが啓蒙とカントが定義しております。
そういう状況がヨーロッパ全体のみならずフランスと日本にもでてきている。その具体的な様相おいて見るとどういうことかというのを書いたのがこの本です

これまでは一冊フランス語で本を書くと次にこういうことを書こうかということが次々に湧いてきてこの本で4冊目の本になったわけですけれどいまのところこの後どういうものが続くかということは頭の中に浮かんできておりません。

とにかくこういう本を書きましたので、そしてフランスでも売れておりますので、とにかくできあがった物をみなさんにお目にかけることが出来ると思って持ってきました。

今までの研究の報告としてはそういう状態にいま私があるということをご報告しておきたいと思います。

このあとも何かというふうに思ったのですけれど、これで一応私が考えていることは終わりましたので、そのあとなにか出てくることを自分でも願ったのですけれどそれが出てくるかどうかちょっとわかりません。
そういう状況にいまあるということだけご報告したいと思います。




 

 

 

長野 敬

 

2015年度の報告  長野敬  2016/04/20

☆刊行
・デヴィッド・W・ヴォルフ(著〉.長野敬(訳)『地球生命の驚異―秘められた自然誌(新装版)』2016。青土社 (David W.Wolfe.Publishing.2001)
・マリアン・S・ドーキンズ著、長野敬(訳)『動物たちの心の世界』改訂再版2016。青土社(Marian.S.Dawkiss:Through our eyes oniy?Spektrum Akademischey Verlag GmbH.1993)
・読者アンケート特集 収載.2016年1月,みすず書房【研究報告参照】
・長野敬監修、序文『医学・医療概説,医学部進学のための特別講座』河合出版、2015年10月.改訂版
・長野敬(監修・分担執筆):『サイエンスビュー.生物総合資料,増補四訂版』実教出版,2016年3月。.


☆Underground学会など
・共生社会システム学会,名誉会員
・綜合人問学会,理事
・自治医科大学看護学部非常勤講師(「入門生物学」および「環境学」)
・医進コース・ビデオ(「若い医師のキャリア形成」「く尊厳死〉について」)監修,桜山校舎、(作成進行中)


☆研究報告
・人間性の<起源>について。【上記の「アンケート特集」への回答を参照。
①~⑤は、5点を挙げてくださいという注文に、ほぼ応答したもの。】

 

 

 

 

 

丹羽健夫

 

2016年度文教主任研究員会議レポートレジュメ

2016年4月20日丹羽健夫

A. この一年でやったこと
・(学)中西学園関係。
  定例会議(隔週)、および理事会(年6回)出席。
・河合塾教育情報部編集の高校先生向け情報誌「ガイドライン」書評コラム『教育を読む』の執筆。
2015年4/5,月号 江戸川乱歩著『少年探偵―怪人二十面相』
 〃 7/8月号 シュリーマン著『古代への情熱―シュリーマン自伝』
 〃 9月号 坂井三郎著『大空のサムライ』上・下
 〃 11月号 阿久悠著『瀬戸内少年野球団』
2016年4/5月号 麻生和子著『父吉田茂』

B. 今後の計画'
・(学)中西学園関係
・執筆中のもの
 『日本人の留学』;本年6月、中西学園出版会より刊行の予定。
 『日本の学校』
 『1960年以後日本が失ったもの(昭和にあって消えたもの)』

 

 

 

渡辺京二

 

◇◆ 
渡辺先生はご出席の予定で準備されていらっしゃったのですが、4月14日夜および4月16日未明に震度7を観測する熊本地震が発生したため、残念ですがご欠席せざるをえませんでした。


2015年4月~2016年3月の仕事  渡辺京二

1)単行本
『気になる人』(対談集) 晶文社 2015年5月刊

2)復刊
イヴァン・イリイチ『コン.ヴィヴィアリティのための道具』翻訳 ちくま学芸文庫 3015年10月刊

3)連載
「バテレンの世紀」         『選択』(月刊)
「日本詩歌思い出草」(1)~(3)    『道標』50号、51号、52号

4)エツセイ他
「抑制と暗い炎」橋川文三著『ナショナリズム』解説 ちくま学芸文庫2015年8月刊
「高山文彦「宿命の子」を読む」   『本の窓』 2015年8月号
「開かれた島へ」          『アンブロシア』40号 2015年4月刊
「バベットの晩餐会」        『2015わたしが選んだこの一冊』
坂口恭平『家族の哲学』書評     『熊本日日新聞』 2015.12.27
「山脈の記憶」           『日本経済新聞』2016.3.13
上田秋成「死首のゑがほ」口語訳・解説『アルテリ』創刊号2016年2月刊

5)講演
「書くこと生きること」(熊本県詩人会にて) 『アンブロシア』41号
2015年11月刊

6)未刊書き下ろし(近刊単行本収録) 「人に逢う」(90枚)
「さらば、政治よ」(40枚)
「ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』を読む」(100枚)

 

 

 

 

 



 

 

 

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2015年度主任研究員会議 2015/4/23日(木) 

2015年4月23日(木) 第24回文教研主任研究員会議が京都ガーデンパレスで開催されました。

2015主任研究員会議全員4人


〈プログラム〉

* 文教研所長の挨拶
* 文教研の昨年の活動報告と今年度の予定
* 主任研究員の先生方の発表──昨年度の研究とこれからの予定について
 木村敏先生
 中川久定先生
 長野敬先生
 丹羽健夫先生
* 全体討論・報告その他

 


主任研究員の先生方のご発表は次の通りです。

 

 

木村 敏

1 著書・編著
 1)木村敏『あいだと生命一臨床哲学論文集』創元社2014
 2)木村敏・野家啓一監修『臨床哲学の諸相・臨床哲学とは何か』河合文化教育研究所2015

2 論文
 1)臨床の哲学.上記『臨床哲学とは何か』所収
 2)感性と悟性の統合としての自己の自己性──超越論的構想力の病理.同上
 3)LebenundTodalsManifestationdesZwischen.In:DasZwischendenken,Marx,Freud
undNishida.FOrToshiaki(Binmei)Kobayashi.Hrsg.vonMartinRothundFabianSchafer
LeibzigerUniversitatsverlag2014.39-48.
 2015主任研究員会議木村先生4)自他関係における現勢態 actualityと潜勢態 virtuality. 臨床精神病理35巻3号2014

3 講演
 1)統合失調症について最近考えていること  精神科治療講演会(2014/5/22).
 2)統合失調症における自己の障碍 京都大学稲盛財団共催京都賞シンポ(2014/7/12)
 3)「自己」と「私」の概念をめぐって 京都賞シンポジウム(2014/7/13)
 4)自他関係における現勢態と潜勢態 第37回日本精神病理学会.東京芸大(2014/10/5)

4 2015年度の計画
 1)第15回河合臨床哲学シンポジウムを開催(東京2015/12/13)
 2)年4回1泊2日の文教研「心身論研究会」を続行(名古屋)
 3)月1回の寺子屋セミナー「アポリア」を続行(京都)
 4)月1回ヴァイツゼカーについての学際的研究会「バトソフィア」を続行(京都)

 

 

 

 

 

 

中川久定

1.『啓蒙の精神フランスと日本』、パリ、シャンピオン社、2015年(近刊)
2.日本学士院、人事選考委員としての仕事

中川先生は表題1.2.のことを次のようにお話しされました。

2015主任研究員会議中川先生 ひとつは私は最近本を書いて、『啓蒙の精神  フランスと日本』(『L'sprit des Lumieres en France et au Japon』)という本がシャンピオン社から出ます。
 啓蒙というのは何かというとカントが『啓蒙とは何か』という本を書いていまして、それは「完全に他者に依存しないで自立すること」。そういう精神状態を人が持つようになった時に、それを啓蒙された自己というふうに呼ぶと言うことを定義しております。そういう精神を啓蒙の精神と仮に訳しますけれども、それはちょうど18世紀くらいから日本でもはっきりと現れるようになって、だからカントが『啓蒙とは何か』という本を書いたわけです。
 そういう啓蒙という意識がはっきり出てくるものは何かということについては、フランスで出ている本で『啓蒙の時代』という、自立した精神がうまれてくるということがはっきりと自覚されるようになった、1715~1815年のあいだにヨーロッパの全体で出てくるということを書いてあります。約100年間でそれを啓蒙の世紀という。
 それがただ単に一国だけに出てくるのではなくて、フランスにも出てくるし日本にも出てくると、それを検討してみるとどういうことがいえるかということを、多少意を尽くして書かなければならないと、それをフランス語で書きました。
 ページが850ページくらいありますので時間がかかってしまったのですが、それが出ればまたフランスでもある種の論議を巻き起こし得ると私は思っています。

 もうひとつは、日本学士院の人事選考委員の仕事をしています。推薦された人が会員に相応しいかどうか論文を読んで選考するわけです。それは私にある種の精神に緊張をもたらしますので私は敢えて自分から志願してこの仕事をやっています。
 やればやるほど自分の知らないことに気づかされるとともに精神が根本から掻き回されるのでそれでやっています。非常に多くのものを読んできて感じたことは、ダメな仕事というのももちろんあります。ダメな時には押せば向こうに突っ返されるようなものです。ところが優れた研究というのは押しても押し返してくるんですね、力があるから。これは比喩的にしかいえないんですけれども、そういうものにぶつかるというのは非常に自分にとっては喜びですので、選考委員会での選考に、自分では専門ではなくてもそれやるようなことをしていまして、そのたびに精神が覚醒するような気持ちがしています。







 

 

長野 敬

2015主任研究員会議長野先生1 翻訳
チップ・ウォルター(著) 長野敬・赤松真希(訳)『人類進化の七〇〇万年』第3版)2014 青土社/(Chip Waltar: Last Ape StandingーThe seven-million-year story of how and why we survived. Walter & Co. 2013)
ジュディス・S・ワイス(著) 長野敬(訳)『カニの不思議』2015 青土社/(Judish S. Weis:Valking SidewaysdーThe Remarkable world of Craps Cornell University Press. 2012)

2 監修と分担執筆
『サイエンスビュー──物総合資料,増補四訂版』,実教出版2014年2月.

3 生物学シンポジウムに向けて(7月5日 河合塾麹町校デルファイホール)
 「生命における再生現象の位置づけ」。きっかけの一つは「Stap細胞」騒ぎだったが、これは文字通り「騒ぎ」にすぎないことがすぐ明らかになった。しかしその手前の成果であるES細胞やiPS細胞もやはり多能性・全能性の問題であることを思いだすと、手前のもの(祖先細胞)からその先(子孫細胞)ができてくる生命の継承は、少なくとも有性生殖の形式として何億年間か不変のまま続いてきたシステムであり、生命の基本の一つと位置づけられる。
(1)この基本システムがいま、どこまで明らかになっているかを見直すことと、(2)文教研および河合塾でも「再生現象」をテーマに小シンポを企画してはどうかとの意見もあったことも考慮しつつ、分子遺伝学での知見をあらためて整理してみた。
 遺伝子どころか、生物学という発想(ラマルク、1802など)のはるか以前から、再生の乱れは不思議・奇怪な現象として知られていた。この現象に、研究の端緒となる奇形腫(teratoma;teratology)という呼称を与えたのはジョフロワ・サンチレール(1772-1844)だった。遺伝の分子レヴェルでの解明(二重らせん;クリックのセントラルドグマ[DNA→RNA→タンパク質])以後に、ようやく本格的となった。
 自然の再生過程が順調に進む仕掛けの一つは、受精の瞬問に遺伝子DNAのメチルが(ほとんど)全部外されるという「初期化に」よって、分化の状態が一度ご破算になり、それから順序通りに正しく分化が進むことにあるのだが、「正しい」進行を司る機構の詳細は、今後の研究に委ねられている。
 動物の世界でも、発生が途中から反復するという形での再生が目立つ例はあるが(プラナリアの「ノウダラケ」、ゴキブリの脚、「トカゲの尻尾」)、植物では、一見途中からの再生と言える現象がもっと普通に見られる(「栄養生殖」、挿し木、ユリのむかご、鱗茎、ベンケイソウの「挿し葉」)。ただ、動物では一度進んでしまった細胞の分化状態が戻るという理解ができる場合が多いのに比べて、植物では、分化の手前で留まっている組織・細胞が切断などを契機として先へと進みだすと見られるのではないかという。
 上記(2)の小シンポでは、とりあえず動物(医学)側から仲野徹氏(阪大医学部)、植物側から杉山宗隆氏(東大理・生物、植物園)の参加を得て、上のような動植物での対比、それでも脱メチルなどの基本機構はおそらく同じであろうというあたりの基本的な見方を軸に、解説的な普及講座を心がけたい。

 

 

 

丹羽健夫

2015主任研究員会議丹羽先生

A この一年でやったこと
・中西学園関係
定例会議(隔週)、理事会出席 1
名古屋外国語大学講義実施(前期週1、テーマ「キャリア・デザイン」
大学の講義はこれをもって最後
・河合塾教育情報部編集の高校先生向け情報誌『ガイドライン』書評コラム「教育を読む」の執筆
2014年4・5月号『羊の宇宙』夢枕獏著
    〃7・8月号『郷愁の詩人与謝蕪村』萩原朔太郎著
    〃9月号『鹿鳴館の貴婦人大山捨松』久野明子著
    〃11月号『漱石の思い出』夏目鏡子述・松岡譲筆録
2015年4・5月号『怪人二十面相』江戸川乱歩著
2015年版『わたしが選んだこの一冊』原稿『万葉秀歌』評

B 現在やっていること
・中西学園関係
・執筆中『日本人の留学』
・執筆中『日本の小学校』

 

 

 

 

 

渡辺京二

 

渡辺先生はご欠席でしたが、一年間の活動について文書でお寄せくださいました。

2014年5月~2015年4月までの仕事

1 単行本
『無名の人生』文春新書2014年8,月刊
(柄にもなく人生論みたいなことを語ったものです。インタビューなのですが、インタビュアーがかなり自分の文章化しているので、なんだか他人が喋っているような変な気がします。)
『女子学生渡辺京二に会いに行く』文庫 2014年12月刊 (2011年刊の亜紀書房版の文庫化)

2 連載
 a)「バテレンの世紀」
(月刊誌『選択』の連載も100回をこえ、いよいよ島原の乱に入り、終りもみえて来ました。来年の初めころには完結を迎えられそうです。)
 b)「提論」
(『西日本新聞』の「提論」というコラムに一年間計5回書かされました。自分が「提論」などする柄じゃないことがよくわかって、一年で辞めさせてもらいました。)
2014年4月27日  「引きずる一流国家幻想」
      7月6日   「物書きは地方に住め」
      9月21日  「はびこる紋切り型思想」
     11月30日  「変わる保革の意味」
2015年2月22日  「質のよい生活」
 c)「読書日記」
(『エコノミスト』誌の「読書日記」欄の筆者の一人として書かされ、これもしんどくなって一年で辞めました。)
2014年5月20日号  『ブーニン作品集』第1巻
      6月24日号   シニヤフスキー『ソヴィエト文明の基礎』
      7月29日号   斎藤清明『今西錦司伝』
      9月9日号    黒田杏子『語る兜太』
     10月14日号   宇根豊『農本主義が未来を耕す』
     11月15目号   臼井隆一郎『苦海浄土論』
     12月23日号   坂口恭平『幻年時代』ほか
2015年2月3日号    伊藤比呂美『父の語る』
      3月10日号   石牟礼道子『不知火おとめ』
      4月14日号   池内恵『イスラーム国の衝撃』


3 エッセイなど
「父母の記」                『新潮45』2015年2月号・3月号
「吉本さんのこと」          『吉本隆明未収録講演集』月報1・2
「『バテレンの世紀』に想う」『ゆるし』(イエズス会聖三木図書館)2014年12月刊
「石牟礼道子詳伝年譜」       (『石牟礼道子全集』別巻所収)

4 インタヴュー・講演
「二つに割かれる日本人」    『文藝春秋スペシャル』2015年冬号
「石牟礼道子を読む」(7月20日 熊本市現代美術館)『現代詩手帖』2014年10月号

5 対談「気になる人」(「熊本日日新聞」に一年間、計9回連載)
いろんな場所で自分らしく生きている人々、著述家、カフェ・レストラン経営者、書店員、農園主などからお話を聞きました。(2015年5月、晶文社から刊行予定)


他、こまごましたものは省略します。
この一年、自分としては両親のことを書けたこと、吉本隆明さんとのご縁について書けたこと、さらに「石牟礼道子全集・別巻」に石牟礼さんが自伝「葭の渚」で1960年代末までしか語っていないので、その後のことを私が自分の日記をもとに補筆したことが収穫一というより義務が果せた気がしています。両親のこと、石牟礼さんのことはともに400字100枚余りあって、老衰しつつある私としては大仕事で消耗しました。

 

 

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2014年度主任研究員会議 2014/4/21

 

 2014年は4月21日に開催されました。冒頭では昨年(2013年)6月に突然なくなられた中国史研究者の谷川道雄主任研究員への黙祷から始まりました。
 前年の会議では、体力が弱ってきたもののあくまでも粘り強く研究を押し進めると、気迫をこめて語っていらっしゃっいました。「この一年の間私にとって重要な出来事は何と言っても谷川道雄先生が亡くなられたことでした」とお話しされた先生もいるように、どの先生方もその死を惜しんでいました。

 

 

 

 

主任研究員会議◇先生方の発表◇

木村敏 主任研究員
2013年の論文「西田哲学と私の精神病理学」西田哲学年報など
2013年の講演 「河合臨床哲学シンポジウム」など
今年度(2014年)の計画、第14回河合臨床哲学シンポジウムなど
『臨床哲学論文集』の「序論」の要旨を説明

 


中川久定 主任研究員

現在フランスで印刷にかかっている『啓蒙の精神 フランスと日本』のテーマ 『啓蒙』について-カントや日本での「啓蒙」という訳語、訳者へ言及をされました。

 

長野敬 主任研究員
2013年の論稿講演「科学技術への視点〈今〉と〈昔〉」講演など
2013年の翻訳 チツプ・ウオルター(著)共訳 赤松真希(訳)『人類進化の七00万年』青土社、マリアン・S・ドーキンズ(著)『動物たちの心の世界』改訂再版 青土社
監修 序文『医学・医療概説、医学部進学のための特別講座』河合出版(予定)
研究中の「人間の進化、再考について」の説明
 

丹羽健夫 主任研究員
<この一年(2013年)でやったこと>
・名古屋外国語大学での講義(前期週1、テーマ「キャリア・デザイン」)。
・河合塾教育情報部編集の高校先生向け情報誌『ガイドライン』書評コラム「教育を読む」の執筆
・産経新聞の依頼原稿「昨今の大学入試」

<現在やっていること>
・前年に引き続き執筆中『日本人の留学』(仮題)
・留学の隆盛の歴史的時期について思索中
 

渡辺京二 主任研究員
<この一年(2013年)でやったこと>
A、本を三冊出しました
  『近代の呪い』平凡社新書
  『万象の訪れ』弦書房
  『幻影の明治』平凡社
B、連載
  「追想バテレンの世紀」『選択』(連載)2013年4月号~2014年3月号
C、インタビュー、書評など
  「渡辺京ニ ロング・インタビュー 近代のめぐみ」
  『熱風』(スタジオ・ジブリ出版杜)2014年1月号特集


発表の後、牧野剛特別研究員をはじめ、参加者が質問をしたり感想を述べました。