HOME  >  文教研ぷらす  >  グレートジャーニー ユーラシア大陸は平らだった-ベーリング海峡からアフリカ人類発祥の地のアフリカまで-  >  5.人間は進化はしていても進歩はしていない

5.人間は進化はしていても進歩はしていない

5.人間は進化はしていても進歩はしていない

それともうひとつは、キリスト教徒でもエチオピアの人ですね。
エチオピアに入っていくと、
なんだかタイムカプセルで昔に帰ってしまったような感じがしたんです。
非常に人なつこくて、自転車で走っていても
10キロくらいついて来ることもあるんです。

マラソンで有名な国だから10キロくらい走るのは当たり前で、
裸足で走ってくっついて来る。
いい加減にしろって思い切り飛ばすんですね、
離したのでもうくっついて来なくなったと思ってゆっくり走っていると追いかけて来る。
そういう走るのが好きでたまらないという人たちです。

その人たちはキリスト教徒なんですけど、
ヨーロッパに広まっていったキリスト教とエチオピアで拡がったキリスト教とは、
結局違うんですね。
キリストの弟子の時代にはもうキリスト教がひろまっていたといわれ、
実際、4世紀のエチオピアのコインにもう十字架が記されています。

 

   エチオピア暦では1月初旬がクリスマスになる。
   聖地ラリベラにはエチオピア各地から多くの巡礼者が集まる。
   クリスマスの前夜、聖マリア教会では徹夜で祈りが続けられる。
   深夜ローソクの光の帯が広がった。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4世紀にキリスト教は思いっきり変わってしまいますね。
世界史をやってる人は僕よりもっとくわしく知っていると思いますが、
元来歴史というのは神の意志によって動かされている、
神の意志のままに歴史というのは流れていて、
それは天地創造から終末まで続いている。

それは神の意志によって決められている一筋の流れだと
いうことになっていたわけですが、
聖アウグスチヌスは人間の自由意志によって流れを変えるということを言ったわけですね。
だから神の意志だけでなくて人間の意志によって自分の生き方あるいは歴史を変えられる。
それが進歩と結びついた。


それに対してエチオピアに伝わったキリスト教というのは、
それ以前のものなんです。
だから歴史とは神の意志によって決まってしまうから、
人間は何もする必要はない。
要するにイスラムとすごく似ています。
進歩とは関係ない。
戦争や環境を考えて見ればわかると思いますが、
進歩というのは、前の時代と比べてよくなっている状態を進歩というのですが、
決して進歩はしていない。

 

   広場で説教する修道士。
   修道士は手書きの聖書を売ったり、十字架にキスをさせて献金をもらう。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間は進化はしていても、特に進歩はしてないと
僕は旅をしながら思いました。
だから、先ほど言うように進歩していませんというとおかしいけど、
進歩と進化は区別しなければいけないと思います。

たしかに進化はしている。
進化というのはあらゆる動物がするわけで、
すべての動物、今世界中にある動物というのは、
登録されているだけでも、150万とか200万種。
熱帯雨林とか海底、まだ確認されていない生物を含めると
3000万とか6000万とかいわれていますが、
その生物というのはすべてみな同じ線上にある。

結局みんな繋がっている。
本来は30数億年前に生まれた生命があって、
それがずーっと繋がり、たぶんほとんどのものが、
いろんな時代に恐竜と同じように滅んできてしまった。
だからヒトが二本足で歩き始めてからでも
ネアンデルタール人とかヒトのいろんな種類が絶滅していった。
要するに進化と絶滅の歴史を生物は繰り返してきた。
生き残った生物より絶滅した生物の方が圧倒的に多いわけです。
その中で生き抜いてきたものが、今の条件・環境に適応して残り3000万種になった。
だから、それはみんな差がない。

特に人間が成功はしている。
生物学で成功というのは広い範囲で数がたくさんいるということを
成功というだけで、特に偉くはない。
人間はみんな偉いと思ってる人がいるかもしれない。
たしかに特殊な進化をし、二本足で立ち、脳が大きくなったために言葉も生まれた。
しかし決して頂点にいるわけじゃない。
たまたまいろんな偶然が重なってサバンナに放り出されたことによって
二本足で歩くようになり、たまたま非力であったゆえに脳味噌が大きくなった、
そういういろんな偶然が重なって人間というものができてきたわけです。
いろいろ適応した進化の段階でいえば、
全ての生物が同じ線上にある。決して人間が頂点にいるわけではない。
そういう意味で進化してきた今があるので、決して進歩じゃない、と思っています。

 

 グレートジャーニーでは「旅は人力のみ」というルールを作った

 グレートジャーニーは奇跡の旅だった

  イスラムの人たちの優しさ

4 「足るを知る」アファール人

5 人間は進化はしていても進歩はしていない

 自然に優しいとはー3つに集約

7 トナカイ橇で旅をしたかった

8 「優しさ」さえあれば、どうにでもなる

9  当たり前のことがいかに大切か

10 「海のような人」

11 チベット。欲望、祈り、巡礼

12 中国のチベット以上にチベットの文化を残しているネパールの北ドルポ

13 大人に媚びない。良く働く子どもたち 

14 死の決め方とチベット医学

15 グレートジャーニー完結。タンザニア ラエトリ遺跡