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内藤湖南研究会〈 主宰:山田伸吾 〉

内藤湖南研究会〈 主宰:山田伸吾 〉

 内藤湖南(本名虎次郎、1866─1934)は、日本近代における知の巨人の一人である。彼はジャーナリスト・政治評論家として、又東洋学者として卓越した足跡を残し、その史論は今日なお世界の学界で論議されている。中国史における京都学派も、湖南を起点とするものである。
 湖南は中国伝統時代に達成した文化と社会の熟成を高く評価し、その見地から、現代中国がそれ自身の特質に基づいて近代国家として自立してゆくべきだと主張した。これは近代化即欧米化とする通念に対する思想的挑戦であった。
 内藤湖南研究会は、湖南の思想に学びたいと志す人たちによって、1996年から開始された。メンバーは河合塾講師の他、各大学の名誉教授・教授・准教授・高校教諭・大学院生・一般社会人より成り、ともに初心者の立場に立って湖南の著作を会読し討論してきた。発足後16年の2012年10月には、140回目の例会を迎える。研究会の成果としては、まず論文集『内藤湖南の世界 アジア再生の思想』(2001年本研究所刊)を世に問い、『研究論集』第5集「内藤湖南特集号」(2008年)と共に全国的に注目されて、しばしば引用されている。なお『内藤湖南の世界』は中国でも翻訳出版された。
 本会の現在の目標は、湖南の主張の根底をなしている思想構造を全面的に解明することにあり、目下各メンバーがそれぞれのテーマを通じてこの問題に立ち向かっている。