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【訃報】河合文化教育研究所 所長・主任研究員 木村敏先生

 

  【訃報】河合文化教育研究所 所長・主任研究員 木村敏先生



かねてより病気療養中であった
河合文化教育研究所(以下、文教研)所長で主任研究員の木村敏先生(享年91歳)が、
さる8月4日(水)に逝去されましたことを謹んでご報告いたします。

故人の長年にわたる多大なるご功績を称えるとともに、ご冥福をお祈りいたします。
葬儀はすでに近親者のみにて執り行われておりますことも併せてご報告いたします。

木村先生は、1994年から文教研の主任研究員に就任され、
2009年からは所長も併せて務められておりました。

そして、精神医療の現場で従来は精神医学だけが取り扱ってきた諸問題を、
人間の根底のあり方にまで遡って哲学的に考える
臨床哲学という分野を提唱され、
その精神医学と哲学の学際的研究交流の場として、
2000年から2018年まで、「河合臨床哲学シンポジウム」を毎年一回主宰されました。

その記録は、文教研より『人称をめぐって』『生命と死のあいだ』など
9冊の単行本として発刊されております。

また、その業績は国内外で称えられています。
1981年第3回シーボルト賞(ドイツ)
1985年第1回エグネール賞(スイス)
『木村敏著作集』第7巻 2002年度第15回和辻哲郎文化賞受賞
『精神医学から臨床哲学へ』(ミネルヴァ書房) 2010年度毎日出版文化賞受賞
2011年度京都府文化賞特別功労賞受賞。

そして、木村先生の著作から大学入試問題に数多く出題されており、
2012年度には大学入試センター試験(当時)の現代文問1に『境界としての自己』が出題されました。
最近の3年間でも8大学にて出題されております。


■河合文化教育研究所における木村敏先生の仕事


<シンポジウム関連>(河合文化教育研究所主催)

1984年8月 日仏シンポジウム「日本の心、フランスの心」
(主催・河合文化教育懇話会=河合文化教育研究所の前身。1984年11月に河合文化教育研究所設立)に
パネリストとして出席。

1986年9月 日独シンポジウム「自己――精神医学と哲学の観点から」企画実施。
講演者兼パネリスト。(木村敏、W・ブランケンブルク、坂部恵、A・クラウス、)

1994年4月 河合文化教育研究所主任研究員に就任
      (谷川道雄、中川久定、廣松渉氏との同時就任)

1995年11月 日独シンポジウム「医学における人間」企画実施。講演者兼パネリスト。
      (木村敏、H・シッパーゲス、濱中叔彦)

1996年国際シンポジウム「医学的人間学―—西欧的主体と東洋的主体」企画実施。
    10月 名古屋 「身心論」シンポジウム 講演者兼パネリスト
    11月 東京  「生と死」シンポジウム  講演者兼パネリスト
       (木村敏、J・スコット、W・ブランケンブルク、大橋良介、野家啓一)

 2000年12月の
河合臨床哲学シンポジウム「内省の構造――長井真理没後10年精神病理シンポジウム」を第1回として、
以後、2018年の第18回まで、
以下のテーマで精神医学と哲学の境界を越えた新しい学術シンポジウムを創る。

 第2回 「臨床哲学の可能性――木村敏著作集刊行を記念して」(2001年11月)

 第3回 「交錯する自己―—ブランケンブルク追悼記念」(2003年6月)

 第4回 「越境する身体」(2004年11月)

 第5回 「気分の現象学と病理」(2005年12月)

 第6回 「<かたり>の虚と実」(2006年12月)

 第7回 「<作ること>と<作りごと>』(2007年12月)

   第8回 「空間――開けとひずみ」(2008年12月)

 第9回 「時のはざま――クロノスとカイロス」(2009年12月)

 第10回 「自己――語りとしじま」(2010年12月)

 第11回 「他者の諸相、他性の諸相」(2011年12月)

 第12回 「臨床哲学とは何か」(2012年12月)

 第13回 「臨床哲学とは何かⅡ」(2013年12月)

 第14回 「生命――ビオスとゾーエー」(2014年12月)

 第15回 「生きられる死」(2015年12月)

 第16回 「人称――その成立とゆらぎ」(2016年12月)

 第17回 「非人称・前人称・無人称」(2017年12月)

 第18回 「あいだと間」(2018年12月)

 

 <出版関連=河合文化教育研究所刊>

 〇『人と人とのあいだの病理』(河合ブックレット11)

『からだ・こころ・生命』(河合ブックレット29)

『分裂病の詩と真実』

〇 木村敏・中村雄二郎監修『講座・生命2000第4巻』を2000年に哲学書房より引き継ぎ刊行。
以後、同じく『講座・生命2001第5巻』『講座・生命2002第6巻』『講座・生命2004第7巻』を刊行。

〇 木村敏・坂部恵監修『身体・気分・心』『<かたり>と<つくり>』を臨床哲学シリーズとして刊行。

〇 木村敏・野家啓一監修『空間と時間の病理』『「自己」と「他者」』『臨床哲学とは何か』
『生命と死のあいだ』『人称をめぐって』を、同じく臨床哲学シリーズとして刊行

 

<その他>

2009年より、河合文化教育研究所所長に就任(主任研究員との兼任)

 

『わたしが選んだこの1冊』(年刊の推薦読書冊子。2010年より発行)の巻頭に
「読書への誘い」を、またその本文に以下の本の推薦文を寄稿。

『生物の世界』(今西錦司)(2011年版)

『善の研究』(西田幾多郎)(2012年版)

『風土』(和辻哲郎)(2013年版)

『省察』(デカルト)(2014年版)

『西田幾多郎――絶対無とは何か』(永井均)(2015年版)

『ゲシュタルトクライス――知覚と運動の人間学』(ヴァイツゼカー)(2020年版)